プロジェクトNo.13 子どもの学力低下は親の教育方針が原因?
(有効回答者数 594名)
ゆとり教育の弊害が顕著になってきた昨今。子どもたちの読み書き能力や計算能力の低下は教育行政のせいだけにはできない。家庭の教育方針も大きな原因となる。親たちが子どもにどんな参考書・問題集を子どもに与えたいか。その調査統計は、国際レベルで日本の子どもの活字離れ・学習時間の短縮・学力低下が進んでいることを証明している。
■今回の調査では、「家で学習するための参考書や問題集はどのようなものがよいですか?」という質問に対して、
- とにかくたくさん問題やまとめがあるもの
- 短時間で簡単にできるもの
- 付録やイラストがたくさんあって楽しくできるもの
という選択肢を用意した。
結果は次のとおり。(有効回答者数594人)

現代の児童は、習い事や塾通いによって家庭で充分な時間が取れないため、学校の宿題に時間を割くことができない。
遊びたい気持ちを抑えて学校の宿題に向かうというのは、勉学への集中力・忍耐力を鍛える儀式のようなもの。
一方、学習塾の予習復習は高い学力を必要とする割には、実社会では役に立たない知識を戦術的に詰め込むことに主眼がある。その結果、対症療法的な学力は身に付くが、文学作品や芸術から言葉では読みとることができない機微を感知する能力を得ることが難しいとされる。
この数年、学校と家庭での生活における総合的な学力の習得を支援するのが教育行政の役割だという意識が国際的に高まってきた。
しかし、ゆとり教育の弊害が取り沙汰されるようになっても、一般家庭での教育改革意識はいまだ昔のまま。
今回の調査結果のように、「短時間で簡単にできるもの参考書・問題集」に賛意を示した回答者が半数近くもいることが、その証左だ。
また、子どもたちの「学校外での時間の過ごし方」、「宿題をする時間とテレビ・ビデオを見る時間(1日当たり平均時間)」を調べた、国際教育到達度評価学会(IEA)が行った「国際数学・理科教育動向調査の2003年調査」でも、そのことが見て取れる。

調査対象国は45カ国。具体的には宿題をする時間の多い順に、ルーマニア、ロシア、レバノン、チュニジア、アルメニア、イタリア、イラン、モルドバ、バーレーン、ヨルダン、南アフリカ、ボツワナ、パレスチナ、マレーシア、モロッコ、シンガポール、ラトビア、リトアニア、キプロス、ハンガリー、インドネシア、エジプト、ブルガリア、サウジアラビア、ベルギー(フラマン語圏)、スロベニア、イスラエル、エストニア、フィリピン、香港、チリ、ガーナ、セルビア、オランダ、米国、ノルウェー、マケドニア、台湾、オーストラリア、スウェーデン、ニュージーランド、スロバキア、韓国、スコットランド、日本。
宿題をする時間は、日本は1.0時間であり45か国中最も少ない。国際平均値の1.7時間より0.7時間も少ないのだ。それとは逆に、テレビやビデオを見る時間は日本の児童が世界一であり、2.7時間と45か国中最も多く、国際平均値の1.9時間より0.8時間多い。
塾通いの多い韓国でも宿題時間が少ないが、日本はそれに加えてテレビ・ビデオを見る時間が多い。
このことは、家庭で宿題や勉強をしていないというだけでなく、家族と対話する時間が少ないということを現している。
学校や塾での学習の質量よりも、家庭での会話の質量が子どもの人生に大きな影響を与えるということが大人たちの意識に根付かないことには、教育改革はまた砂上の楼閣になりかねない。


