プロジェクトNo.17 好きな小説家は誰ですか?
■続いて支持を受けたのが、赤川次郎氏。
こちらは、支持した人の60%が女性という結果。
「三毛猫シリーズが好き(43歳・女性)」という同回答が複数あったが、三毛猫の人間を冷静に見るやや冷ややかな目と軽快なミステリーなどで人をひき付け、小気味良い終わり方をするのが、人気の秘密かもしれない。
その次のランクインが興味深い。栄えある3位に輝いたのが、同数で、明治の文豪、夏目漱石氏と芥川龍之介氏。彼らの作品は、約1世紀という時を隔てても、まだ不動の人気を保っていることを証明した。多くの現代作家がこれらの作家の影響を受けているのは間違いがなく、明治の知識人とはこういうものだったのだと思わせる内容は、「漱石の、時代を超えて身近に感じる風刺とユーモアが好き(49歳・男性)」という回答や、「文体と人間の深いところをつくから(61歳・男性)」という回答に見られるように、日本人の核心に触れる内容を、現代人に遥か及ばないほどの洞察力と分析力を駆使してまとめあげてあるからなのだろう。
4位には、日本の作家で、ノーベル文学賞に今一番近いと言われている村上春樹氏がランクイン。哲学者を思わせる氏の著書には、世界で多くの固定ヘビーファンがついているというが、結果はまさにその通り。トップにはならないにせよ、低からず、いつでもトップに躍り出られる場所をキープした。「村上先生の独特な世界が読んでいて引き込まれます。ほとんどの本を買っています。(37歳・男性)」という回答のとおり、村上マニアは驚くほど多い。一方、「何がいいたいのかわからない」と思う読者もいるようで、そんな理由で4位の地位となったのかもしれない。
5位以下は、松本清張氏、西村京太郎氏、宮部みゆき氏、東野圭吾氏と、ミステリーが続く。
7位というポジションで、ようやく女性作家がランクインしたのだが、これは回答者の99.3%が男性という、少し男性よりの意見がもたらした結果かもしれない。ただ、明治からの時代で言えば、5,000円札に採用された樋口一葉氏や、その後林芙美子氏など果敢に男性文学社会へと切り込んでいった作家もいたが、そうは言っても男性作家と比較すると歴史がやや浅く、絶対人数が少ないことも影響しているのかもしれない。
その他の女性作家では、近頃、社会派リバイバルドラマで大ブレイクを起こした『白い巨塔』や『華麗なる一族』を著した山崎豊子氏、『氷点』など、心切り裂かれるような小説を書く三浦綾子氏、見事な恋愛心理をつく、唯川恵氏が貢献した。また、この3人の作家を支持したのは、殆どが女性。やはり、女性の心理を上手くついた彼女達の作品には、同じ女性が共感するということか。「微妙な女心を書くのがうまい(32歳・女性)」や「小説の内容に共感できたので(42歳・女性)」など、自分の体験と照らし合わせて感情移入する女性が多いと推察できる。
最後に、外国人作家を紹介しておこう。全体的に低い数字となったのは、やはり翻訳された本はなかなか作家の言わんとしていることが伝わりにくいという影響も否めないのではないか。そんな中でもエドガ・アラン・ポーと、アーネスト・ヘミングウェイが何とか複数票を獲得した。「黒猫をよんで好きになった。その影響で、江戸川乱歩も横溝正史も好きになった。(48歳・女性)」という、ミステリー志向という傾向と、ノーベル文学賞を受賞した社会派的内容を書くヘミングウェイに支持が集まったのかもしれない。
全体を通して言えるのは、支持される小説には「歴史」「社会」「ミステリー」という3大キーワードがあるように思われる。と、いうことは、この3つのキーワードを盛り込んだものを書けば、それはもしかすると大ベストセラーとなるかもしれない、という仮説が立つ。


