プロジェクトNo.7 『ジャーナリスト』考
| ジャーナリスト人気ランキング Best7 | |
| 1位 | 筑紫哲也 |
| 2位 | 鳥越俊太郎 |
| 3位 | 田原総一朗 |
| 4位 | 江川紹子 |
| 5位 | 櫻井よしこ |
| 久米宏 | |
| 7位 | テリー伊藤 |
■報道すべき事件や事実が溢れている現代。
混沌とした世の中で、誰が何をどのように伝え、人はそれをどう受け止めているのだろう。誰の思想に、言葉に、共感しているのか。今回のアンケートは『好きなジャーナリスト』について訊ね、10〜60代までの男女173人から回答を得た。
まず全体を通して見えるのは『バラつきがある』ということ。トップの票でも21票。6位以下は4票、3票、2票が並ぶ。それだけ好みがわかれる対象なのだろう。
さて、上位はやはりこの3人。1位『筑紫哲也』21票。4票差で2位が『鳥越俊太郎』。続いて8票差で『田原総一朗』が3位。『筑紫哲也』と『鳥越俊太郎』はほぼ同位と考えていいだろう。
1位の筑紫哲也は
- 「ニュースを見て」(大阪府・女性・30代)
- 「テレビを見て」(神奈川県・40代・男性)
という意見が多くを占め、『News23』での活躍、テレビというメディアの影響力が伺える。
- 「はっきりしているようで配慮のある言い回し」(兵庫県・60代・男性)
- 「親しみがある」(福岡県・20代・女性)
など、その語り口も好評のようだ。
僅かな差で2位となった鳥越俊太郎に対しても
- 「語りが好き」(北海道・50代・女性)
- 「自分の世界を持ちながらも、相手に必要以上にそれを強要しないところ」(東京都・40代・女性)
- 「親しみやすいし、過激ではないが信念がありそう」(福井県・50代・女性)
など、穏やかな姿勢が好まれている。
これに対して第3位の田原総一朗の評が面白い。
- 「恐れずにズバズバ政治家、評論家に突っ込んでいく様は気持ちがいい」(東京都・40代・男性)
- 「社会問題をわかりやすくきってくれる」(福岡県・40代・男性)
- 「“サンデープロジェクト”等の報道番組で鋭い視点と観察力で問題点を掘り起こす力量はさすがである」(兵庫県・40代・男性)
先の親しみやすい印象の二人とは正反対で「突っ込んでいく」「わかりやすくきる」などハッキリとした姿勢が票を得ている。さらに興味深いのが、筑紫氏、鳥越氏両者は支持者の男女比はほぼ同率なのに対して、田原氏は圧倒的な数で男性に支持されていることだ。これは何を意味しているのだろう。
このことに関連するような数字がほかにも表れている。4位の江川紹子 、5位の櫻井よしこを支持する9割以上が女性なのだ。今回上位に上がらなかった安藤優子を支持したのも女性であった。ここから『女性が女性を支持する』という傾向が見受けられる。
江川紹子に関しては
- 「オウムの娘の保護に名乗りでたから」(福岡県・女性・30代)
- 「オウムの事件やいじめのルポを見ていてとても人間的な視点でものごとを捉えているのだなあと思う」(兵庫県・40代・女性)
とやはりオウム事件に関連した意見が多く、鋭く物事を捉えつつも人間的な対応に支持がある。櫻井よしこについては
- 「穏やかな口調なのに、凛とした自説を曲げない信念を持ったトークを聞いて」(大阪府・40代・女性)
- 「自分の思考をきちんと出している。怒鳴り散らすような人との対応も穏やかでクール」(埼玉県・50代・女性)
など、しっかりと芯を持ちながら、穏やかな語り口に票が集まっている。
『女性ならではの視点』や『女性らしさ』が同じ女性に通ずるといってしまうのは簡単すぎるのだろうが、報道という難しい世界の壁を取り払ってくれるものではあるだろう。もちろん、語り手の伝えることに大きな共感がなければ支持はない。女性が女性を見る目も、そこから世界を見る目も厳しいはずだ。
先の田原氏の話に戻るが、『恐れずにズバズバと突っ込む』姿勢は男性らしさそのものだろう。思っていてもなかなかそうできる人間はいない。男性にとって、鋭い視点で見極めながら突っ込んでいく姿は、自分の思いの代弁者として清々しく映るのではないだろうか。
では、江川紹子や櫻井よしこが男性に、田原総一朗が女性に多くの支持を得ないのは何故だろう。そこを紐解いてゆけば、何か新しいことが見えてくるかもしれない。これだけの票では言い切れないことかもしれないが、そんな風に感じた。
続けてみてみよう。櫻井よしこと同票なのが久米宏。半分以上の票に『ニュースステーション』と書かれている。彼はニュースキャスターなのか、ジャーナリストなのか、あるいは両方なのか、視聴者の受け止め方は分かれるところだろうが、この番組が久米宏に新たに『ジャーナリスト』としての顔を作ったことは間違いないだろう。
興味深いのは、後番組として任せられた古館伊知郎が僅か1票であったこと。アナウンサー、もしくはニュースキャスターとしてアンケートをとったら、彼の名はもう少しあったはずだろう。彼の今後の姿勢にもよるが、何年後かにアンケートをしたら『ジャーナリスト』として名をあげることになるだろうか。その辺りも見てみたいものだ。
このアンケートではほかにも『北野武』(本業・タレント)や『室井佑月』(本業・作家)、『橋下徹』(本業・弁護士)などの名前も挙がっていた。これはメディアの影響力を強く感じる。もちろん答えてくださった方々を間違いだといっているわけではない。受け取り手が『ジャーナリスト』と感じるなら、それもひとつの正解だ。
この辺りに着目すると、ネットという分野が広がる現在、さらに『ジャーナリスト』と受け止められる人々は増えるのではないかと思う。日本における『ジャーナリスト』とは一体どこからどこまでの人のことをいうのか。それが、今後のジャーナリズムにどのように影響するのか、考えさせられる結果だった。
執筆:寺本美加
編集:長野稔樹(株式会社らくいち)

